◆灯油ポンプ改造、ポンプジェット推進装置◆
【第4回】

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●噴射ノズルの加工


 噴射ノズルになる10mm径のアルミパイプを1.5〜2.0cmにカットします。

パイプカッターで回しながら切っていきます。

 パイプカッターはホームセンターなどの工具売り場で600円前後で販売されています。アルミなどは材質が柔らかいため大きなパイプカッターは必要ありませんので小型の物で十分です。

 金ノコなどで切るより早くてきれいに切れますので一つ買っておくと便利です。真鍮パイプなどにも使用できます。

 このノズル部分は真鍮パイプでもかまいません。要するに錆びない素材である必要があります。
Tips!

 ポンプのノズルから船体の噴射口までアルミパイプをのばす必要はありません。写真のようにシリコンチューブで延長できます。また、この延長方法の方がポンプのレイアウトの自由度が高まり、ポンプ自体の交換も楽になります。

 シリコンチューブは半透明のゴム状の物で柔らかい物ですが、かなりの内圧に耐えるほかゴム自体の耐久性もビニールチューブなどより高いため、うってつけの素材です。 

これもホームセンターなどでmの量り売りなどで入手可能です。ただし延長しすぎるとパワーダウンになりますのでご注意を。

 次はポンプの後部のキャップを作ります。

 ペットボトルのキャップに穴を開けてパイプを通します。使用するのは炭酸系のキャップの方が良いです。


 キャップにドリルで穴を開けていきます。

 この時径の小さいドリルから太い物へ何段階かわけで開けると開けやすいです。開ける位置は写真を参考にしてください。

 キャップを裏から見て白い部分の突起の位置を端として10mmよりやや小さい穴を開けます。ドリルである程度開けたらアートナイフで丁寧に広げていきます。完全な真円にならなくても多少いびつでもかまいません。重要なことはパイプよりやや小さく、キャップのセンターではなく端に開けると言うことです。

 小さめに開けて無理矢理通せば多少の隙間はふさがれてしまいます。

 10mmパイプを差し込んだら裏側に3mmぐらい出るようにセットしてください。パイプをセンターに配置しないのは、このようにオフセットした方が内圧が高まるためです。

 モーターケース後ろ端からこの部分までが圧力室になり噴射の流速が高まります。シュラウド内のインペラと違い小さなペラを高速回転させて内部の圧力を高めて噴射させるポンプですから噴射口のサイズによって特性が変わります。

 また遠心ポンプより加圧スペースが小さいため、この加圧スペースと噴射口のサイズが重要になります。

興味のある方はキャップの噴射口サイズや加圧スペースのサイズを変えて試してみてください。

●ちょっとコラム

 YDD-ENTERPRISE1701-Aでは石油ポンプより大型な同じ工進製のバスポンプを使用しています。モーターはエアプレーン用の400で、ノイズキラーコンデンサーを追加して換装して使用しています。作りかた自体はほとんど同じなので、より大型でパワーが必要な場合にはバスポンプをおためしください。

 ポンプ本体の加工はほとんど不要なのでモーター交換だけで使用できますからより簡単に作れます。このバスポンプですが、注意してみると噴射口が本体中心軸ではなく外側にオフセットされています。つまり上で製作したようになっています。最初石油ポンプを改造したときには効率がよいのではないかという推測でセンターに噴射口を配置していましたが、試しにバスポンプと同じようにオフセットしてみたら・・・不思議とパワーアップしました。そうです、これは加圧式のポンプですから加圧するスペースが必要なのです。

 噴射口をセンターからオフセットしているのはまっすぐ水が逃げないようにして加圧スペースを稼いでいるからです。 より大型のバスポンプがこういう構造になっています、ですから同じようにした方が良いのでしょう。

 この加圧スペースはモーターパワーによっても必要な大きさが変わってくるようです。しかし強力なモーターに強力なバッテリーを繋いでより圧力を高めようと思ってもそれは無駄です。内部圧力が一定限界に達するとそれ以上圧縮が出きません、しかも噴射流速もそれ以上上がりませんし、しかもペラから逆に戻る吹き戻しも起こるため逆にパワーロスしてしまいます。

 またこのポンプは回転を逆転させてもインペラのように噴射が逆流しませんからバックは不可能です。ポンプ自体ではなく噴射口を何らかの仕組みにおいて変えるという方法しかありません。ただし、そのデメリットを差し引いても簡単に水中用のパワーユニットが手にはいるという意義は大きいと思います。

●噴射ノズルの取り付け


 ポンプの後ろ端から1.5cmの所にドリルで穴を開けます。

 モーターからのコードが直径にあわせた穴をあけてください。

 後ろ端から15mm程度という理由はキャップを付けたときにぶつからない位置と言うことになります。

 モーターケーブルの端を内側から通します。

 たるみのない程度にこのようにセットします。

 噴射キャップをかぶせて位置決めをします。

 ハル(船体)への搭載方法を考えて配線の位置、ノズルの位置を決めてください。
Tips!

 この配線方法は真後ろのキャップ部に穴を開けて後ろから配線を出すという方法もあります。 この方法は製作時に搭載艦の都合でこういう方法にしました。

 レイアウトによっては、バスポンプのように真後ろから素直に配線を出す方が良さそうです。EP-103の場合モーターのケーブルが旧型よりやや細身になっていますのでキャップに穴を開けて噴射口の横から後ろに出す方が効率がよいかもしれません。

 位置を決めたら3mmドリルで穴を開けて貫通させます。

 キャップと本体をなるべく押さえるようにして穴を開けます。対角線上の2カ所に穴を開けて固定します。

※不安定な作業になりますから各自方法を考えながら怪我をしないように注意して作業してください。

 穴が開いたら3mm×8mmの真鍮ネジをねじ込んで、仮組みします。

 片方が開いたらネジ止めしてもう片方の穴をドリルで開けてください。これは小さめの穴を開けてねじで簡単に固定するだけで、特にナットで内側を止めることはしなくても大丈夫です。なるべく簡単な方法ということでねじ止めしているだけです。

これで完成・・・ではなくて、ここからが重要なシール作業です。

 2液混合型のEP001を使用します。

 2液を混ぜてください。冬場なら7〜8分、夏場は5分程度放置してから作業に入ります。

混ぜた後すぐはどろどろで流れてしまいますから、ある程度固くなってから作業した方が効率的です。

 キャップを一度はずして内部にEP001を盛り上げるように塗ります。この接着剤で隙間を完全に塞いでシールします。

 キャップの内部の外側とアルミパイプ周辺に重点的に盛り上げてください。これで接合部からのもれはなくなります。

 キャップをしてネジ止めしてキャップと本体との隙間に更にEP001を流し込みます。モーターコードの部分にもEP001を塗って隙間うめを行います。

 塗り終わったら真上に向けてそのまま数時間放置してEP001が固まったら完成です。

※この時必ず吸水口を上にして乾燥させてください。内部のEP001がまだ固まっていないので傾けたままにするときちんとシールされません。


 これで本体加工は終了です。後は各自船体に搭載する方法を考えてください。

●搭載方法と使用の注意点

 YDD-Voyageでは、0.5mmのアルミ板を帯状に切ってベルトのようにして固定しています。

 本体に穴を開けて固定するのはおすすめできません。クランプのような物で押さえつけるなど色々工夫してみてください。また本体がポリエチレンですから接着剤による固定は適しません。

 また、水流を噴射すると言うことは吸水口から水を吸い込むと言うことなので、船体内蔵で搭載するときには船体のどこからか必ず水を吸い込む場所が必要になります。位置関係はあまり大きな影響はしませんが、船体外部からの取り入れが少ないとモーターのパワーを生かし切れません。

 船体の取水口の位置にはあまりとらわれなくても大丈夫ですが、吸水口の近くに大きめの取水口があった方が効率は良くなります。

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[2009/01/18:執筆:Y_D_Dock | 編集:雲山]