◆水上・水中共通編 その1◆ |
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●推進装置 推進装置は、大別するとスクリューとポンプジェットとに分かれます。そしてそのスクリューなりポンプを回すモーター、モーターの回転数を減速させたり、モーターの回転を複数のスクリューやポンプへ分配させる減速機、モーターの回転をスクリューやポンプへ伝えるジョイントから出来上がっています。 ○スクリュー推進 スクリューをモーターで回して、前へと進みます。スクリュー推進の場合、基本的な構造は以下のようになります。 ・モーター1基、スクリュー1軸 ・モーター1基、スクリュー2軸以上 モーター1基に対して、スクリュー1軸の場合には、直結で繋ぐことが多くなります。ただし、この場合モーターが低速の物でないとスクリューの回転数が多くなってしまい、モーターの負荷が高くなり最悪モーターやアンプが焼けてしまう事になります。これを防ぐために、モーターを低速回転・高トルクの物にしたり、ギアなどを使って減速する必要があります。 モーター1基に対して、スクリューを多軸駆動させるには、ギアなどを使って分配させます。ギアなどによる駆動ロスは多くなりますが、モーターを複数使うより余裕のある大きさのモーターを使う事が出来ます。 プラモ改造でラジコンにする場合、問題となるのがスクリューをどうするかになります。キット付属のスクリューが使える場合には、これをそのまま使う事になりますが、プラでは破損が心配なため複製を作っておくと他のモデルにも転用出来て便利です。キットに使えるスクリューが無い場合は、他から調達するか自作するかする必要があります。 スクリューの作成については、別項を参照下さい。 ○ポンプジェット推進 ポンプジェット推進はウォータージェットとも言い、ポンプによって水流を後方へ噴き出し推進力を得る装置です。水物モデルでは、軸流ポンプと遠心ポンプが多く使われます。 軸流ポンプは、筒の中にインペラと呼ばれるスクリューがある構造になります。インペラを回転させるだけですと、筒の中で乱流がおきますので、インペラの後に整流板を置き、水流を整えて噴出口より水を噴射します。外部にスクリューが露出しないため、宇宙船やSFモデルに良く使われます。 遠心ポンプは、インペラを回転させ、発生した遠心力で外向きの水流を作り、これを整えて噴出口より噴き出します。回転軸と垂直方向へ噴出する構造は構造が簡単な事から、自作している例があります。灯油ポンプやバスポンプも遠心ポンプの仲間で、これを使用した水中モデルも多く存在します。モーターが交換できるタイプの物ですと、ラジコンに向いたモーターへ交換が出来るので簡単に使えるのが魅力となっています。遠心ポンプでは、構造上水流を逆転させることが出来ないため、バックは出来ません SFモデルや航空機のように実物がスクリューの無い場合、スクリューは使いたくないものです。こんな時にスマートに推進装置を設置できるポンプジェットはとても役に立ちます。ただし、水に圧力を加えるポンプという形状上、どうしても負荷が高くなり効率が悪くなるのが難点となります。 灯油ポンプを流用したポンプジェットシステムの作成方法については、別項を参照して下さい。 ●モーター ラジコン用として一般の模型店で売られているモーターは、130クラス、180クラス、280クラス、380クラス、540クラスに大別されます。数字が大きいほどモーターの大きさも大きくなり、それにつれてパワーや消費電力が大きくなります。同じクラスでも、回転数やトルクの違いによって異なるモーターが売られていますので、作りたいモデルに合ったモーターを選ぶことが出来ます。
小さいプラモデルを改造する場合には、130クラスでも大きいのでそれより小さなモーターを使う必要があります。こういった小さなモーターは一般の模型店では売られていないため、電子部品や機械部品を扱っているショップから購入する必要があります。幸い、最近ではインターネットでそういったショップへ注文を出すことが出来るため以前に比べて入手はしやすくなっています。 各種モーターについては、別項を参照して下さい。 ⇒モーターカタログ ●モーターマウント 搭載するモーターが決まったら、モーターをどう固定するかを決めます。モーターの形状は円筒形やフラット型が主になりますが、大抵はフロント部に固定用のネジ穴があるので、これを使ってモーターを固定します。ネジ穴が無い場合にはモーターのケースをなんらかの方法で固定する必要があります。フラット型のモーターなら、平面部分に両面テープを貼って固定してしまう方法もありますし、モーターを覆う箱や台を作りタイラップで固定する方法などがあります。いずれにしても、モーターを固定する時には、スクリューシャフトなどの接続部分と直線になるようにします。ここが直線になっていないと、フレキシブルシャフトなどの自由継ぎ手を使う必要が出てきて、騒音の元になったり効率が落ちたりします。 ●アンプ モーターを駆動するのがアンプになります。アンプには何V、何A(アンペア)の電流が流せるかのスペックが決まっており、動かしたいモーターの負荷に合わせたアンプを選ぶ必要があります。 車用として売られているアンプにはバックの無いタイプもありますので、スクリュー推進の場合にはバックが出来なくなります。遠心ポンプを使ったポンプジェット推進の場合には、構造上バックが出来ないので、バック無しのアンプで問題ありません。そういう意味では飛行機用として売られているアンプが使えるので、選択の自由度は高いです。
各種アンプについて、別項を参照して下さい。 ⇒アンプカタログ ●舵 舵は推進装置で作られた水流や、船体が推進する時に出来る水流の方向を別の方向へ曲げる事で、船の進行方向を変える装置になります。そのため、舵の効きというのはどれだけの量の水を動かせるかという事になります。面積を増やす、舵の曲げ角(舵角と言います)を大きくする、枚数を大きくするといった方法によって効きの良い舵にする事が出来ます。 キット付属の舵は、実際の艦船の舵の形を模していますので、そのまま使えればスケールに合った舵となり、外観上の不具合はほとんどありません。この場合にはキットの舵にスクリューシャフトを挿したり、リンケージホーンを直接取り付けたりします。 キット付属の舵では効きが悪いとか、加工が大変など、なんらかの理由でキット付属の舵が使えない場合は、舵を自作する事になります。舵の加工方法や、自作方法については別項を参照して下さい。。 ⇒舵の加工・自作について 舵を動かすには、サーボと舵のシャフトを連結させて、サーボの回転と舵の回転を合わせます。テコの原理で、サーボの回転角度と舵の回転角度の比率を変えたり出来ます。別項、『リンケージの考察』にて詳しく説明します。 ●防水 水物モデルは周りを水で囲まれた環境で動かすため、中身が水に濡れないように防水に気を使う必要があります。特に気を使うのがモーターとスクリューの間をつなぐシャフトの防水になります。これは、グリスボックスやスタンチューブを使うのが一般的ですが、ただのチューブの内側にグリスを塗っただけでもそれなりに効果はあります。 舵のシャフトからの防水も気になる所ではありますが、舵シャフトの鞘となるチューブの上端は水面よりも上になる事がほとんどなので、中にグリスさえ塗っておけばそれほど問題にはなりません。 プラモデルを素材とすると、避けて通れないのがそのサイズになります。大体50cm〜1mくらいがラジコンのベースに使われる大きさになりますが、50cm前後の水上船の場合乾舷がどうしても低くなり、ちょっとした波でも甲板が水を被ることになります。そのため、ハルの中に水が入らないようにする工夫も必要になってきます。甲板との継ぎ目はバスコークでシールしたり、開口部は水が入りにくいように、止水板を設置したりします。 それでも水が入ることがありますので、ハルの内部に隔壁を作ってメカ室への水の浸入を防いだり、受信機やバッテリーなどは密閉できる容器に入れたりします。浸水が多いと沈没の危険もあるので、空いているスペースに発泡スチロールなどの浮力材を入れておくの忘れないようにしましょう。 潜水艦などの水中モデルならでは防水に関しては、『水中編』にて解説します。 上へ TopPage |
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