◆スタンチューブの作成◆
第1回 ノーマル仕様

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●スタンチューブの作成
 水ものラジコンでは防水がとても大切なわけですが、その中でもモーターの回転をスクリューへ伝えるスクリューシャフトの防水は一番のネックになります。水ものラジコンの漏水の原因で、一番多いのがこのシャフトからの水漏れでは無いでしょうか。スクリューシャフトの防水には「スタンチューブ」と呼ばれるパーツが主に使われています。ここでは、水上艦から潜水艦まで使える防水性の高いスタンチューブの作成方法をご案内いたします。

 シャフト径2mm用のスタンチューブを作成するに当たって、まず、用意するのは以下の真ちゅうパイプになります。
@外径5mm、内径4mm、長さ15mm 1本
A外径4mm、内径3mm、長さ4mm 2本
B外径3mm、内径2mm、長さ15mm 1本
C外径3mm、内径2mm、長さ4mm 2本
 また、半田付けするにあたって、30W以上の半田ごてとフラックス、ヤニ入り半田を用意します。



 @の真ちゅうパイプに直径3mmの穴を開けます。この穴には後ほどグリスを注入するパイプ(B)を取り付けます。


 @パイプの両端に、AとCの短い真ちゅうパイプを半田付けします。この時、スクリューシャフトと同径のステンレス線を通しておくと、芯が出せるので、後の狂いが少なくなります。半田付けの際に、このシャフトまで半田付けしないように気をつけてください。半田付けする前に、AとCのパイプの表面は軽く紙やすりで磨きフラックスを塗っておきます。


 Bのパイプは@の中に入る部分は丸やすりで削って、凹状にしておきます。こうしておかないと、シャフトと干渉する恐れがあるからです。


 @にBを半田付けします。@の半田が乗る部分はきちんとヤスリをかけてサビは落としておき、半田付け前にフラックスを塗っておきます。


 構造はこんな感じになります。スタンチューブの両端でシャフトを保持するため、回転抵抗が低く抑えられます。上で作っているスタンチューブは潜水艦用に、グリスが多く入るよう太めにしていますが、水上艦であれば@は外径4mmの真ちゅうパイプで十分です。




●スタンチューブの固定

 作成したスタンチューブの固定方法は色々とありますが、オーソドックスな方法をいくつかご案内いたします。下は1/350 プリンス・オブ・ウェールズへのスタンチューブの固定になりますが、最初にスタンチューブが収まる幅を切り抜きます。


 スクリューシャフトを通した状態で、スタンチューブの位置を合わせて固定します。スタンチューブの艦外へ出る部分がエディプレートとなる構造になっています。スタンチューブとハルの隙間はポリパテなどで埋めて、整形します。



 こちらは、1/350 タイコンデロガへスタンチューブを固定したときの様子ですが、上記同様にスタンチューブが収まる幅に穴を開けます。


 スクリューシャフトを通してからスタンチューブを固定するのですが、こうすることで、モーターやギアからのシャフトの芯がぶれずに済みます。芯のぶれは後々騒音の原因ともなりますので、極力合わせる様にします。


 艦底から見た所です。エディプレートとなっているスタンチューブ末端部分の周りをパテで整形しています。


 こちらは、214型潜水艦へスタンチューブを取り付けた様子になります。シャフトを通してからスタンチューブを固定するのは水上艦の場合と同じです。


 内側の様子はこうなっています。スタンチューブを固定する際は、ベアリングやギアの幅に合わせて遊びが少ない位置で固定する必要があります。もっとも、微調整はギアとスタンチューブの間にあるシムと呼ばれるワッシャで出来ますので、あまり神経質になる必要はありません。


 完成後、スタンチューブへグリスを入れるわけですが、潜水艦の場合はグリスの注入口から水が入ってしまいますので、下のようなキャップを取り付けます。これはラジコン用エンジンの配管などに使われるキャップになります。


 3mm用と4mm用が売られていますが、3mm用ならBのパイプにぴったり収まります。


 スタンチューブに使用するグリスですが、このタイプのスタンチューブでは金属同士の潤滑が必要となりますので、汎用のリチウムグリスを使用します(下写真の緑のラベル)。スタンチューブに使用できるグリスには、他にもシャーシグリスやウレアグリス等の金属用グリスが使用できます。シリコングリス(下写真の青のラベル)も使用できますが、基本的にシリコングリスは金属同士の潤滑には向きません。プラモ・模型用に売られているタミヤのセラミックグリスは水に弱いので、スタンチューブへの使用はお勧めできません。


 グリスは注射器に入れておくとスタンチューブへの注入が楽に出来ます。注射器の針は模型用に、先を平らにしたものが何種類か売られていますので、グリスの固さによって太さの違うものを使い分けると良いでしょう。



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[2009/06/10:執筆:雲山]